現役看護師が教える口腔ケア

お役立ちツール

Hello!ゆきナスです!
今回は私の大好きな口腔ケアのお話です。
以前、投稿した【口の中には細菌がいっぱい】の中にも口腔ケアの基本ステップを書いているのですが、今回はさらに詳しくお伝えしていきたいと思います!

一般的な口腔ケアは齲歯や歯周病を予防するために行う清掃目的のものです。
摂食嚥下領域の口腔ケアは清掃はもちろんのこと、それ以外にも誤嚥性肺炎予防、口腔内環境の維持、口腔機能の賦活化、嚥下機能の向上など多くの意義があります。
高齢者や嚥下障害の方に関わる医療・介護スタッフさんにはぜひ読んでいただきたい内容です!

口腔ケアの種類

器質的口腔ケア

口腔衛生管理を目的とした口腔ケア
①口腔清掃
含嗽、清拭、洗浄、ブラッシング、フロッシング、歯石除去
②義歯の取り扱い
使用方法、保管法、手入れ法

機能的口腔ケア

口腔の持つあらゆる機能を支援する
口腔内環境を変化させることを目的とした口腔ケア
①食べる機能
咀嚼、送り込み、嚥下
②構音・発声機能
発語、発話
③唾液分泌機能
口腔乾燥、疼痛緩和、口臭
④その他
審美性、顔貌の回復

口腔ケア1・2・3

①ブラッシングー歯磨きー

歯ブラシの持ち方は断然ペングリップがオススメです。
介助でブラッシングをするのであれば、これ一択です!
細かい動きができ、ピンポイントで磨くことも可能。また、必要以上に力が入り過ぎないところがメリットです。

ゆきナス
ゆきナス

ちなみに、、、
歯ブラシの圧は100〜150㌘
ブラシを歯に当てた時、毛先が開かない程度が目安です。
実際に計量器で測ってみてもいいですね!

歯ブラシの当て方は上記のイラストを参照してください⬆︎
ちなみに歯ブラシのサイズは自分の奥歯2本がベストサイズと言われています!

ブラッシングの仕方は1本1本5〜10mm程度のストロークで、左右に、小刻みに、動かしながら磨いていってください。

②フロッシングー歯間清掃ー

歯間ブラシ
歯の根元と歯肉の隙間を清掃します。
前側からだけじゃなく、歯の裏側からも挿入してお掃除してくださいね!
歯肉を傷つけないためにもサイズは歯間に合ったものを使用してください。

デンタルフロス
お隣同士の歯が密着している部分を清掃します。
指に巻きつけるタイプ以外にも、ホルダータイプ(F字型やY字型)があるので使いやすい方を選択してください。
初心者はホルダータイプがオススメです!

③マウスウォッシングー含嗽ー

磨きっぱなしでは口腔内に細菌が残ったままになります!最後はきちんとうがいをしましょう。
ブクブクうがいが一番口腔内に残った汚れや細菌を一掃してくれるので、しっかりブクブクしましょう!

point!
嚥下障害でうがいができない方は口腔ケア用のウェットシートスポンジブラシで拭き取りをしてくださいね(°▽°)うがいをしたようなスッキリ感を味わいたい方は吸引チューブ付き歯ブラシを使ってみてもいいですね!

食べていない人の口腔ケアはしなくてよい?

口から食べていない、食べられない方の口の中って見たことがありますか?
食べていないから汚れないし、キレイなんじゃないだろうか、、、と思われる人が多いかと思います。
口から食べていないと、口や舌、歯を使わないため、唾液分泌による自浄作用や咀嚼機能、嚥下運動などが低下しています。まさに廃用状態になっており、汚れが付きやすくなっています>_<

適切なケアをしないと、、、下記の写真のような悲惨な状態になってしまいます。

口から食べていないからこそ、丁寧なケアと機能的口腔ケアが重要となってきます。
口腔内環境を良好に保ち、機能的口腔ケアで口腔機能を賦活させる!嚥下評価もしつつ、そこから経口摂取再開のチャンスや突破口を見極めることが大事です٩( ᐛ )و

現場あるあるなんですが、、、
医師が絶食の指示を出した途端に口腔ケアをしなくなる現象!
おーーーーーいっ!(怒)ってなります。
このブログを読まれた医療や介護に携わるスタッフさんは忘れないでください!

要介護高齢者の口腔内環境

要介護高齢者はすでに多歯数の喪失があり、義歯が必要な状態であったり、齲歯や歯周病の状態であることが多いです。現場でよく見られる状態としては、残存歯や残根歯のケアが不十分であることと、義歯が合っていないということです。

歯の喪失、歯周病、義歯の不適合などは、いずれも口腔機能や嚥下機能だけでなく、発声発話機能に影響を及ぼします。適切なケアと歯科医師との連携が重要です。

残根歯とは上記の写真のように根っこだけになった状態です。食べカスが溜まりやすいため、丁寧なケアが必要です。歯間ブラシやタフトブラシを使用してケアしましょう!
出血や炎症が強い時は歯科医師に相談してくださいね。

タフトブラシ:小さな毛束の歯ブラシ

残根歯を磨く時は周囲の歯茎を痛めないように優しくブラッシングしてくださいね(^^)

舌や粘膜ケアも大事だよ

口腔ケアといえば、、、歯に注目してしまいがちですが、舌や粘膜のケアも大事です!
舌や粘膜にも汚れが付着しており、細菌(約1億個/mg)もたくさんいます。

ケアの流れは口腔ケア1・2・3と同様ですが、付け加えたい重要ポイントがあるのでお伝えしていきます٩( ᐛ )و 嚥下障害がある方、食べていない方の口腔ケアもこの方法を取り入れているので、ぜひ参考にしてみてください!

舌や粘膜の観察

色、形状、乾燥や出血の有無、皮膜様の汚れや痰の付着、病変の有無、舌苔の有無などを観察しましょう!
※前癌病変である白板症や舌癌を発見する場合もあるので、ペンライトを使って、舌の裏までしっかり観察してくださいね。

ケアポイント

①口唇、口腔内を保湿
出血や亀裂を生じさせないために水で湿らせる
乾燥や汚れが強い時は口腔ケア用ジェルを使用する
唾液腺マッサージを行い、唾液分泌を促す

ゆきナス
ゆきナス

ちなみに私のオススメはリフレケアです!

②汚染物の除去
唾液やジェルで軟化した汚染物を除去する!
スポンジブラシなどを用いて、奥から手前に汚染物を掻き出してください。

舌苔が厚い人は一度に除去しようとせず、数回に分けて清掃しましょう。
舌専用のブラシもあるので活用してください。

③機能的口腔ケア
①に記載してある唾液腺マッサージも機能的口腔ケアのひとつです。
それ以外に舌や口唇、頬のストレッチ、歯肉マッサージや口腔周囲筋のマッサージがあります。

口から食べる訓練や評価をする前にやるべきことは口腔ケアです!
口の中のケアをするだけで、口腔内が賦活され、脳神経を刺激し、覚醒状態もよくなります。これは回復期で働いていた時に実感したことです。
脳梗塞、脳出血の影響で意識障害のある方が、口腔ケア、口から食べる訓練を続けたことによって意識障害がどんどん回復していく。とても奇跡的で感動します。
そんな奇跡的なことが私たちの実践する口腔ケアで引き起こすことができるんです!

たかが口腔ケア、されど口腔ケア。。。
最期まで美味しく、楽しく食べることを続けたい!続けてもらいたい!と思うのであれば、大事にしたいケアのひとつですね。

みなさま、歯をお大事に!ちゃんと磨いて寝てくださいね(笑)
ではでは、また次の投稿でお会いしましょう(°▽°)

タイトルとURLをコピーしました